鬼池ひなの会はこうして始まりました。


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2010年のある日、鬼池焼光釜の陶芸教室での一コマ

「もうじき三月ばって、寒かですねえ」

「おひな様ん時期ですねえ」

「引坂(※鬼池の字名)ん年寄りたちゃあ実物んおひな様ぁ見たことなかしぃの多かとですよ」

「なしてですか?」

「子どんが時ゃぁ戦争もあったし、親たちゃ貧乏で、だあれも人形ば買いきらんやったらしか」

「今どきゃどこでん飾らすでしょう…飾らんごてなって、押し入れになわしくぅである人形ば借りられんですかねぇ」

「お人形さんの前で茶どみゃ飲むところんあればですねぇ…」

「そん話、乗ってみましゅうかい!」


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その実現のために、鬼池まちづくり振興会文化部で話し合いを始め、貸してもらう人形のことや予算のこと、会場や飾り付け、片付けの手はずなど、準備に一年かけて振興会の承認を得ることができました。

 翌年、文化部の予算18,000円。主な働き手は文化部員5人、地元で活動する食改さん、婦人部さん、知り合いの方に声をかけてボランティアを募り、寄付や貸与してくださった7組の段飾りを旧公民館の集会室に展示するところから始まりました。

 もちろんお茶を飲みながらゆっくり観てもらうための席は、会場の中央に準備しました。集まったボランティアの方々との話し合いで、「お抹茶の会」や「おぜんざいの会」、そして「お年寄りと子どものふれあい会」の企画が提案され、第1回から続けています。

 九州の各地で盛大に催されているひな祭りと比べると、お話しにならないほどの規模ですが、発足の趣旨を守りながら鬼池らしさを作り出すために、「軒先かざり」に取り組んでいます。陶芸教室の生徒さん手作りの陶びなを、地元の木工所の方に余材で作っていただいた館に収め、軒先を提供してくださった地域の方々の協力で、今では90セットの軒先びなが町筋に置かれています。

 メインの会場のほかに、近くの方々が集まりやすいように、友辻・引坂・本郷の地区でも展示場が作られ、その他にも多くの協力者の方々が、ご自宅やお店などにひな飾りをしていただいています。

 男性も女性も、できることは何でも手作りして、会場の飾り付け、来場者の方々とのふれあいを大切にして楽しみ、みんなで支えあって育ててきた鬼池ひなの会。これからも、「いなかの手作りひな祭」を続けていきたいと思います。

 

鬼池ひなの会実行委員長

野崎秀登   



2019年02月18日更新